卵胞が充分に育たないため、卵巣の中で未発育の卵胞がネックレスの様につながっているのがPCOSです。したがって排卵障害や、生理不順、基礎体温が二相にわかれないなどの現象がおきてきます。原因ははっきりしませんが、LH分泌過剰、LH(黄体形成ホルモン)/FSH(卵胞刺激ホルモン)比が大きい、テストステロン(男性ホルモン)が多い、などが関与しているといわれています。
症状は、生理不順(遅れてなかなか来ない、基礎体温が二相に分かれない、無排卵月経)、多毛(テストステロン値が高い場合)、にきび、肥満などですが、生理不順以外は特にない場合もあります。
中医学では、PCOSを、おもに「痰湿」(代謝しきれない病理的な水分の滞り)や、「瘀血」(血行不良の結果の停滞した血)と考えます。また、その過程には、ホルモンの分泌が正常でなく卵胞が育ちにくいという視床下部ー脳下垂体ー卵巣系の異常の「腎虚」が考えられます。併せて、ストレス・イライラ・生理前の胸のハリなど「気滞」が強いこともあります。この場合、高プロラクチン血症の傾向を伴う場合もよくあります。
無排卵、生理不順、肥満傾向、多毛、にきびなどがおきやすい。 hMG-hCG療法などでは、小さな卵胞が一斉に反応してしまい卵巣過剰刺激症候群(OHSS)がおきる可能性も。 「痰湿」や「瘀血」を増やす脂っぽい高カロリーの食べ物、動物性のもの、甘いもの、お菓子などはとり過ぎないようにすて太り過ぎないようにすることも大切です。
漢方では「化痰利湿薬」や「活血薬」を中心に利用します。体質に応じて「補腎薬」や「理気薬」を組み合わせたり、周期調節法も効果的です。
PCO(多嚢胞性卵巣症候群)とは
卵巣の中にはたくさんの卵細胞があり、通常1周期ごとに成熟して排卵します。
卵細胞を包む卵胞が卵細胞の成長とともに成熟、2cmくらいになると破裂し、排卵します。
PCOの場合、卵胞が数多く成長しある程度まで大きくなりますが、排卵まで至らず排卵しにくくなることがあります。
排卵しても、排卵までに日数がかかることが多い。
小さいものがつながって、ネックレスのように見えることもある。
症状
生理不順・無月経・不正出血・肥満・多毛・にきびなど
原因
内分泌異常(黄体化ホルモンLHと卵巣刺激ホルモンFSHのアンバランス)
糖代謝異常(インシュリン増加に伴う男性ホルモンの増加)
西洋医学の治療
クロミフェンやhMG-hCG療法などの排卵誘発
腹腔鏡下手術で卵巣に小さな穴をあける
カウフマン療法やピルなどのホルモン療法で月経をおこす
メトフォルミン内服によるインスリンの減少
PCOの方の養生法
基礎体温は
症状が重い場合、排卵しないため、低温期が続き一相性排卵する場合も、低温期が長く続きなかなか高温にならない
漢方の対策
滞りがあるため、血流に働きかける活血やたまった痰湿を除くお薬を活用します。
卵巣の血流に働きかける補腎や補血のお薬を活用します
漢方の養生
体重の増加や甘いもののとりすぎは、悪い影響をあたえます。
砂糖・動物性脂肪・加工食品のとりすぎには気をつけましょう。
夜遅くに一度に食べる・早食い・よく噛まない・味の濃い食事は、食べすぎにつながるので注意しましょう。
油は選んでとりすぎないようにして、酢も活用しましょう。
季節の野菜をたっぷり、火を通してうす味でとりましょう。
きのこ・海藻類などをたくさん食べるようにしましょう。
甘いものは、果物・黒砂糖などから、ほどほどにとりましょう。
体を動かすようにして、体重が増えないようにこころがけましょう。