寒くなり外気が乾燥してくると、風邪やインフルエンザなどウイルスの病気が心配です。風邪や流行の病気は、同じような環境でも、かかりやすい人とそうでない人がいます。この違いを漢方では、「衛気(えき)」の充実の差と考えます。
衛気とは「気」の中でも体表や粘膜を守るバリアのような働き、免疫機能のようなものと考えられています。衛気は、ウイルス、花粉、雑菌、乾燥、温度差など外部の刺激から体を守ってくれるので、衛気が弱ると風邪をひきやすくなる、ウイルスに感染しやすくなる、花粉症や冷房病などにもなりやすくなるのです。
漢方で、衛気を強くするには、「益気固表(えっきこひょう)」という、気を増し体表を強くする方法が用いられます。よく利用されるのは生薬「黄ぎ」を中心とした「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」です。黄ぎは、朝鮮ニンジンと並ぶ補気薬(ほきやく)の代表で、朝鮮ニンジンが胃腸など主に体内の気を補う作用に優れているのに対して、黄ぎは体表の気を補う作用に優れているのが特徴です。
風邪は「万病のもと」といわれ、ほかの病気や不調を引き起こすこともあり、安易に考えるべきではありません。衛気を強め風邪をひきにくくするのが一番ですが、ひいたかなと感じたら、早めに症状に合わせた風邪薬を飲むのが早く治すこつです。ぞくぞく寒気の風邪か、のどが痛く熱っぽい風邪かでお薬を使い分けることも大切です。