つわりがあるのは、赤ちゃんが元気な証拠ともよく言われます。確かに、妊娠すると増えてきて妊娠の判定の基準となるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)や黄体ホルモンが増える時期と一致しています。あとは、ストレス、赤ちゃんを異物としてとらえるアレルギー説などがありますが、はっきりしたことは分かっていないようです。
中医学では、「衝気」(妊娠に関係する経絡の気)が過剰にあがってしまい、胃のおろす作用(消化機能のこと)が、邪魔されて気持ちが悪くなると考えます。どの体質の人も、共通しているのが、胃腸に過剰に「湿」がたまっていると調子が悪くなりやすいということです。「湿」は、日頃から、ジュースやアイスなど冷たいもの、こってりしたもの、味の濃いもののとりすぎで溜まっていることも多いので、妊娠前から食事には気をつかうことも必要です。なってしまったら、体質や状況によって、漢方を使い分けしたすると効果的です。
脾胃気虚タイプ
漢方の「脾胃」は、胃腸の機能のことですが、もともと弱い人は、すぐ妊娠の影響をうけて調子を崩してしまいます。顔色が白っぽい、食欲がない、食べるとすぐに吐いてしまう、下痢しやすいなどの症状がよくあります。
漢方では「補気健脾薬」などを中心に利用します。生姜のしぼり汁を少量づつなめるのも効果があります。
痰湿タイプ
漢方の「痰湿」は、体内の過剰な水分のことですが、胃腸の調子を崩したり気分も悪くさせます。もともと代謝がわるかったり、水分をとりすぎる人に多い。とにかく気持ちが悪く、吐き気がする(水っぽいもの)、口の中がべたつくなどの症状がよくあります。
漢方では「袪痰利湿薬」などを中心に利用します。
熱タイプ
漢方の「熱」は、過剰になると上昇してきて、胃腸の機能を邪魔してしまいます。もともと暑がり、こってりした高カロリーの食事や辛いものを好む人に多い。すっぱいもの・苦いものがこみあげる、喉が渇いて冷たいものがおいしいなどの症状がよくあります。
漢方では「清熱利湿薬」などを中心に利用します。