流産防止には

 妊娠初期の染色体異常による流産は、胎児による問題で、いわゆる自然淘汰なので、防ぐことはできません。お母さんの体質・体調に問題がある場合は、漢方を利用して、流産しにくい体調にすることは可能です。 また、3回以上、流産を繰り返す習慣性流産の場合は、不育症ともよばれ、免疫性の問題などが関係することもあります。

 中医学では、とどめる力の「固摂」や胎児を養う「補血」を重要視します。これらを、まず第一に考え、あとは体質や、細かい症状にあわせて、服用する量や、種類を加減します。漢方も、妊娠前から服用して、より体質をよくしておくことをおすすめします。免疫性の場合も、「腎虚」や「瘀血」が関係する場合多く、妊娠前から、体質をよくするお薬を活用しておくことが大切です。

気虚タイプ

 漢方の「気」は、だいじなものが漏れでないようにする「固摂」の作用がありますが、気の不足している「気虚」や「腎虚」タイプの人は、胎児をささえる力も弱い傾向にあります。 疲れやすい、貧血傾向、めまい、食欲不振、下痢しやすい、うすい色のおりものや不正出血があるなどの症状がよくあります。1日中でかけたり、疲れること・無理は、安定するまでさけたほうが無難です。 胃腸に負担のかかる辛いもの、生もの、冷たいものなども「気虚」がすすむので注意。

 漢方では「補気薬」「補腎陽薬」などを中心に利用します。

血熱タイプ

 漢方の「熱」は、過剰になると、機能を亢進させ、子宮の収縮なども促進してしまい、胎児が落ち着かない状態になると考えます。手足や顔がほてる、口が渇く、気持ちがあせり落ち着かない、イライラしやすい、基礎体温が高めなどの症状がよくあります。神経を興奮させる辛いもの、味の濃いもの、コーヒーなどは「血熱」がすすむので注意。

 漢方では「補血薬」「清熱薬」などを中心に利用します。

腎虚タイプ

 漢方の「腎」は、「気」と同様に、だいじなものが漏れでないようにする「固摂」の作用や「免疫」を正常に保つ作用があると考えますが、腎が弱いと「気虚」や「瘀血」も同時におきやすく、胎児をささえる力が弱かったり流産を繰り返す傾向があります。流産を繰り返す、めまい、腰痛がおきやすい、、婦人科疾患がある、うすい色のおりものや不正出血があるなどの症状がよくあります。妊娠中から、少し時間をかけて体質をよくしておくことをおすすめ。胃腸に負担のかかるものはさけて、栄養のバランスを考えて食事をとることが大切です。

 漢方では「補気薬」「補腎陽薬」などを中心に利用します。