免疫性不妊

 精子検査、子宮・卵巣、輸卵管などに異常がなく、妊娠できない場合は、免疫性不妊の可能性も考えられます。検査としては、ヒューナーテストや抗体検査で調べます。治療には、ステロイド剤の内服や、人口授精・体外受精などの方法がとられます。

■同種免疫
 女性の体内で、精子に対して抗体ができ、精子の凝集や運動能力の低下が起きた状態です。

■局部免疫
 子宮頸部または子宮内膜で、IgG、IgA、IgM抗体ができ、精子が殺されてしまう状態です。

■自己免疫
 血清中に現われた抗体により、精子の運動能力や卵子の発育や受精が妨げられてしまう状態です。

 中医学では、生殖機能や免疫機能は、「腎」に関係が深いと考えますから、「補腎薬」を中心に活用します。また、2次的に、病理産物の「湿熱」や「瘀血」も生じやすく、これらが正常なホルモンの働きや免疫機能を邪魔すると考えますから、これらを除く「清熱薬」や「活血薬」も組み合わせたり、併用したりします。

腎陽虚が強いタイプ

 漢方の「腎陽」は、体を温め、ホルモンの原動力であると同時に、免疫を司る働きがあると考えます。「腎陽」の不足している人は、正常の免疫機能が働かず、何らかの異常をおこしてしまうことが多くあります。また、全体的な血行・代謝もよくないので、「瘀血」や「痰濁」といった病理産物が発生しやすく、これらもますます免疫力を弱めてしまいます。

 基礎体温は、全体的に低め、低温期が長く、高温への上昇がスムーズでない、高低の差が小さいなどの特徴があります。ほかに、生理痛や腰痛がある、冷え性、だるくむくんだり、疲れやすいなどの症状もよくあります。冷たいもののとりすぎや薄着による冷えや血行不良に要注意。こってりしたものや辛いもの、生もの、冷たいものは控えてバランスのよい食事が大切。

 漢方では「補腎陽薬」「活血薬」などを中心に利用します。生理周期に応じて飲み分ける周期調節法もよく活用します。

腎陰虚が強いタイプ

 漢方の「腎陰」は、体を潤し、ホルモンのバランスをとると同時に、免疫機能を調節すると考えます。「腎陰」の不足している人は、免疫の調整がうまくいかず、免疫異常をおこしやすくなります。清熱作用をもつ陰分の不足から熱が過剰になり、「湿熱」など、免疫のバランスを崩す病理産物も発生しやすくなります。

 基礎体温は、全体的に高めであったり、排卵や生理も早まる傾向にあります。ほかに、ほてりやのぼせ寝汗などの熱感の症状がある、アレルギーや花粉症があるなどの症状もよくあります。ストレスや緊張は悪化条件、ストレス対策も大切です。陰を消耗し神経を高ぶらせる辛いもの、アルコール、こってりしたもの、コーヒーなどは控えめに。

 漢方では、「補腎陰薬」「清熱薬」などを中心に利用します。