蕁麻疹とは、皮膚の一部が赤くくっきりと盛り上がり(膨疹)、しばらくすると消えてしまう病気。人がイラクサ(蕁麻)の葉にふれると同様の皮膚症状がおきることからこの名前がついた。
症状
・皮膚の灼熱感・痒みを伴う発疹が生じ、数分~数時間で消褪する。
・症状が激しい場合は、次々に新しい皮疹が出没することもある。
・気道内に浮腫を生じた場合、呼吸困難を併発することもある。
分類
■アレルギー性蕁麻疹
・I型アレルギーが関与
食物性…原因となる食べ物を食べてから30分以内に通常おきる。
薬剤性…薬剤摂取後30分以内におきる。抗生剤・NSAIDの頻度が高い。
■非アレルギー性蕁麻疹
何らかの刺激でヒスタミンが肥満細胞から分泌されたり、神経末端よりアセチルコリンなどが分泌され、血管透過性が亢進して症状がでるものがある。アレルギー性と異なりヒスタミンの放出が長いなど、すぐおさまるとは限らない。
・物理性
機械刺激・温度・圧迫・汗・運動などで誘発される場合がある。
寒冷蕁麻疹など。接触性の場合、みみず蚓腫れがおきやすい。
・日光
日光被ばくによる蕁麻疹。日光のあたった皮膚に局限して膨疹があらわれる。
・コリン性
発汗・ストレス・不安・興奮などでおきやすい。
膨疹とその周囲に紅斑を伴う。
かゆみとともに痛みを伴うことが多い。
■遺伝性の蕁麻疹
・CINCA症候群
・Muckle-Wells症候群
・家族性寒冷蕁麻疹
■血管浮腫(クインケ浮腫)
皮膚の毛細血管の拡張と透過性の亢進によりおこる。
じんましんが皮膚の表装で起こるのに対し、血管浮腫は深在性に起こる。
口唇やまぶたに生じ、かゆみはなく、出現すると3~4日続く。
腸に浮腫を生じると、消化器症状を伴う。
発症機序
皮膚の血管周囲の肥満細胞の中のヒスタミンを何らかの原因で分泌。
ヒスタミンが血管に働くと、血管の拡張、血管の透過性の亢進、血管外への血漿成分の漏出がおきる。それが浮腫(膨疹)となり、ヒスタミンは神経を刺激しかゆみを誘発する。
検査
赤色皮膚描記症 皮膚を擦過すると赤く膨隆する(アトピーでは白色)。
■じんましんの原因を調べる検査
・RAST法…血液検査で特異的IgEを調べる。
・ヒスタミン遊離試験
・皮内テスト、プリックテスト
・誘発試験…ショックの危険があるため慎重に行う。
治療
■急性期
内服…抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬など。
外用…抗ヒスタミン製剤、ステロイド外用剤など。
発疹が長時間次々に出現する場合ステロイド剤を使用することも。
■慢性期
内服…抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬など。
外用…抗ヒスタミン製剤、ステロイド外用剤など。
H2ブロッカー、レセルピンで効果があることもある。
漢方でのみたて
・血熱(けつねつ)
・湿熱(しつねつ)
・血瘀(けつお)
・風邪(ふうじゃ)
・血虚(けっきょ)
などにわけられます
清営顆粒、瀉火利湿顆粒、黄連解毒湯、冠元顆粒、涼解楽、冬帰飲子、その他、清熱解毒作用のある健康食品などがよく使われます
養生
・原因となる食べ物や環境をさける。
・高カロリー・高脂肪食、アルコール、たばこ、コーヒー、香辛料の多いものは控える。
・甘いもの(お菓子、チョコ、ケーキなど)を控える。
・乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズなど)を控える。
・野菜やきのこ・海藻をたくさんとるようにする。