蕁麻疹(じんましん)

 蕁麻疹(じんましん)は、皮膚に、突然、熱感・痒みをともなってできる発疹です。数分-数時間で消えますが、また繰り返し発疹ができることもあります。何らかの原因で血管や血管周囲の肥満細胞中からヒスタミンが遊離され、血管を拡張することによって血漿成分が漏出し膨疹になり、また痒みを起こす原因になります。大きくはアレルギー性のものと、非アレルギー性のものとに分けられます。

■アレルギー性蕁麻疹(じんましん)
 I型アレルギーが関与している。30分以内に症状がでてすぐ治まることが多いが、1か月以上続く場合もある(慢性蕁麻疹)。 卵・牛乳・かに・えび・さばなどの青魚・そばなどの食べ物によることが多い。

■非アレルギー性蕁麻疹(じんましん)
 アレルギー性の反応はないが、肥満細胞からヒスタミン、神経末端よりアセチルコリンなどが分泌される。すぐに治まらない場合もよくある。 日光・熱・発汗・寒冷・運動・ストレス・物理的刺激・金属・化学物質によるものなど。

 中医学では、蕁麻疹(じんましん)の症状そのものは「実邪」と考えます。でやすい体質としては、大きく分けると、日頃から「熱」が強いタイプと、冷えて「虚」が強いタイプがあると考え対処します。

症状を抑えるには

 発疹が出ているときには、症状を抑える対症療法を優先します。 漢方では、赤く痒みが強いということから主に「熱」や「熱毒」があると考えます。

 食べ物・化学物質・金属など誘発原因となるものがわかれば、極力避ける。香辛料・キムチなど・コーヒー・脂っぽいもの・日本酒(お酒の中でも熱をもちやすい)・ケーキ、チョコレートなどの洋菓子類は、体に熱がこもりやすいので控えめに。お腹の調子が悪いときにでることも多いので、冷たいもの・生もの・消化の悪いものも注意。

 漢方では、「清熱解毒薬」を中心に活用します。 黄連解毒湯、涼血清営顆粒、五涼華、五行草茶など。 お腹の調子も悪いときは、勝湿顆粒、星火健脾散などをあわせて活用します。

体質改善には

■熱過剰タイプ

 日頃、どちらかというと暑がりで、肌が痒くなりやすい。またよく喉が渇いたり、便秘気味の傾向があります。 蕁麻疹(じんましん)がでている時同様、誘発要因になるものには、避けてください。

 辛いもの・コーヒー・お酒・脂っぽいもの・肉類・バター・洋食・味の濃いものも熱がこもって皮膚に痒みが出やすいので控えめにしたほうが無難です。あっさりした味の和食・野菜や海藻・豆類が多めのうす味の食事がお奨めです。

 漢方では、「清熱涼血」「潤燥」などのお薬を中心に利用します。涼血清営顆粒、 荊がい連ぎょう湯、温清飲、白花蛇舌草など。 ほてり・のぼせなどもある時は、瀉火補腎丸など。

■衛気虚タイプ

 日頃、胃腸が弱く、食欲なし、下痢しやすかったり、風邪をひいたり汗をかきやすいタイプ。急に寒いところに出たときや(寒冷蕁麻疹)、汗をかいたとき、冷たいもののとりすぎやお腹の調子が悪いときにも蕁麻疹(じんましん)がでやすい。蕁麻疹(じんましん)がでている時同様、誘発要因になるものには、避けてください。

 胃腸の消化吸収能力が弱く、食べ過ぎたり、冷たいもの・消化の悪いものを食べると、発疹でることが多いので、なるべく火を通した消化がよいものを腹八分目に。辛いもの・冷たいもの・甘いもの・脂っぽいもの・生のもの(刺身)なども控えめに。

 漢方では、「補気健脾薬」を中心に利用します。 衛益顆粒、星火健胃錠、星火健脾散、晶三仙など。