「未病先防」の発想…個々に合わせ不調改善 2010年3月24日付

 連載を通して、漢方の考え方や実用性を、ほんの一部ですがお伝えしてきました。中でも、優れていると感じるひとつに、「未病先防」という発想があります。病気になる前の予防を重視するのです。病気と診断されなくても、なんらかの不調があれば、漢方理論の弁証からの漢方や養生法を活用し、体調を整えておけば、病気を防ぐのに役立ちます。予防医学に近い考え方ですし、個々の体質・体調に応じたオーダーメイドの方法をとれるというのも、漢方の特徴です。

 また、アンチエイジングのための手段も豊富です。まず、老化のサインが現れやすい、歯・耳・泌尿器系・ホルモンバランスなどを補う「補腎」(ほじん)という発想があります。漢方の「腎」は、腎臓という臓器だけでなく、骨・歯・脳・耳・髪・各種ホルモンなどとその機能と考えられています。「腎」のための漢方や食品・生活習慣を意識し実践することは、元気や意欲を保つのに役立つはずです。また、女性の場合、髪・肌・爪・目・血液のめぐりなどと関係の深い「血」を充実させることも、若さを保つポイントです。

 風邪を長引かせず早く治したい、長年の不調をじっくり改善したい、ホルモンバランスのせいかいろいろな不調がでてきた、肌の矢波を改善したい、いろいろな要望に、漢方は、解決方法を提案してくれると思います。多くの方に、漢方やその考え方を、身近なものとして役立てていただければうれしい限りです。