■食から始める漢方生活◇清明の候
【食養生 de 漢方 Life vol.5】
漢方で考える「肝」は、西洋医学の「肝臓」の意味のほかに、「気」のめぐりを調節して、自律神経や感情をコントロールする働きと考えます。
ストレスを感じたとき、胃が痛くなる、お腹をこわす、血圧が上がるなど、よく経験することですが、「肝」が元気だと、ストレスをうけても、体は影響をうけにくいのです。すなわち「肝」は、ストレスに対するクッションのような役割をしている、と考えてよいでしょう。
季節でいうと、「春」は、陽気が過剰になりやすく、環境の変化なども大きいため、「肝」がバランスを崩しやすい時期です。また、女性の生理前も、陽気の過剰による「肝」の不調で、イライラ感・鬱感・張った痛みなどがでやすい時期です。これは、月経前症候群(PMS)といわれていますね。
漢方では、このようなとき、「気」のめぐりをよくしてリラックスさせる「サイコ」や「ハッカ」などの生薬を活用します。「肝」を潤し、栄養を与える目的では、「トウキ」「クコシ」などが活用されます。
食べ物では、酸っぱいものや香りのよいものに、「肝」を整えるものが多くあります。グレープフルーツなどの柑橘系、いちごなどのベリー類、青紫蘇、三つ葉、ユズなどです。肝を補うものには、ほたて・はまぐり・あさり・しじみなどの貝類のほかに、くこの実、にんじん、レバーなどがありますので、春は、少し意識してこのような食材を多めに摂り入れるのもよいかもしれません。
また、菜の花・ふき・うど・よもぎなど春野菜のほのかな苦味には、高ぶりがちな神経をクールダウンする効果があります。お茶であれば、目の疲れにもよい菊花茶、気分をすっきりさせるミントティーなどがおすすめです。好みのものから、少しずつ生活に取り入れてみたらいかがでしょうか。