■食から始める漢方生活◇入梅の候
【食養生 de 漢方 Life vol.6】
今年は関東も例年より早く梅雨入りしました。梅雨で思いうかぶのは、湿度の高さから、じめじめする、カビが生えやすい、ものが腐りやすい、気分がすっきりしない、などでしょうか。
こんな時期は、体内も高温多湿の状態となり、過剰な「湿」のよごれの「湿濁」がふえ、それにかかわる不調が多くなると漢方では考えます。「湿濁」は、重だるく体の下部にたまる、むくんだりはれぼったくなる、胃腸の働きを妨げるなどの特徴があります。そのため、頭が締め付けられるようにまたは鈍く痛む、からだが重だるい、皮膚がジュクジュクする、食欲が減退したり胃がもたれる、口が粘るなどの症状がよくおきます。また、自然界同様、菌やカビが繁殖しやすくなるので、食あたりや湿疹、水虫などもおきやすくなります。
漢方の対策としては、体内がじめじめしている時は、「除湿」作用のある生薬を活用して、「湿濁」を追い出し、体調を整えます。たとえば、シソ科の「カッコウ」は梅雨や夏によく使われる生薬ですが、精油成分によって、体内、特に胃腸の過剰な湿を除く働きがあります。健胃や抗菌の効果もあり、お腹が心配なときは心強い味方です。ほかに、ハンゲやブクリョウなど、水分調節によく使われる生薬はいろいろあります。
食べ物では、大豆・小豆・緑豆・そら豆などの豆類、きゅうり・とうがん・すいかなどの瓜類、はと麦、そば、もやし、昆布、わかめ、きのこなどに水分を排泄する作用があります。カッコウと同じ科の紫蘇のほか、ねぎ・みょうが・ミントなども、その中の香りの成分で、食欲を増し消化を助けるので、梅雨から夏の食卓にはおすすめです。
お茶なら、はと麦茶やプアール茶などがよいのですが、冷たい飲み物や、塩分や油の多い食事は、続くと体に余分な水分がたまる原因になるので、ほどほどがよいでしょう。