■食から始める漢方生活◇大暑の候
【食養生 de 漢方 Life vol.7】
今年は、梅雨明け前から猛暑の日が続きました。また、節電を考えると、体調に関しても、今まで以上に、暑さ対策を考えたいですね。
暑さで、まず思い浮かぶのは熱中症です。漢方では「気」と「陰」が極端に不足するとなりやすいと考えます。「気」は心臓や呼吸の機能、体力維持、胃腸の働き、免疫力などに関係し、汗と一緒にでていきます。
「陰」は、体内で役立つ水分のことで、体の冷却や、潤いの維持に役立っています。こちらも汗と共にどんどん消耗するので、水分をとっただけでは、すぐ役立つ「陰液」に変えることはできないのです。
漢方の熱中症予防では、水分補給とともに、「補気補陰」を重要視します。「補気補陰」の代表的な処方に、「生脈散」があります。ニンジン・ゴミシ・バクモンドウからなり、古くから、脱水症状や体力低下に用いられてきた処方です。水やスポーツドリンクに溶かしてのむと、吸収がよく、即効性があります。
食べ物では、漢方にも利用されるサンヤク(ヤマイモ)、うなぎ、大豆製品、オクラなどに補気の作用、きゅうり、トマト、なす、すいかなどみずみずしい夏野菜が水分補給(補陰)に役立ちます。また、梅干など酸っぱい食べ物は、収れんして、汗のかきすぎやエネルギーの消耗を抑えてくれます。また、瓜の中でも特に苦いゴーヤや、バナナ・キーウイなどのトロピカルフルーツには、体を無理なく冷やす働きがあるので、上手に取り入れるとよいでしょう。
体を適度に冷ますものは必要ですが、冷たいジュースやアイスは、胃腸を疲れさせてうまく食べ物を消化吸収できなくしてしまうので、とりすぎには注意してくださいね。