生理痛、PMS、冷え、不妊・・・漢方で治す婦人科トラブル

■「元気がでる体の本」 2006/夏号
 婦人科対応漢方・養生法が紹介されました。漢方は婦人科の味方です。 「漢方の一番の特長は、西洋医学的には異なる病名がついていても、体の中で起こっている問題が同じであれば、共通の漢方薬で対処できるという点です。20-30代の婦人科のトラブルは、漢方からみると、体のエネルギーである「気」や、体に栄養とうるおいを与え、ホルモンや生理とも深い関係にある「血・けつ」に問題があるケースが多く、漢方は、この「気血」に働きかけるのが得意な治療法なのです。」

婦人科5大漢方薬

「元気がでる体の本」 2006/夏号■当帰芍薬散・・・誰でも用いやすい穏やかな薬
 婦人科では最も出番の多い「当帰」という生薬を含む漢方薬のひとつで、「血」を補いながらめぐらせるとともに、体内の余分な水分を追い出す作用もあります。作用が穏やかなので、比較的だれにでも用いることでき、長期服用もしやすい薬です。

■桂枝茯苓丸・・・血行をよくして「瘀血」を取る
 桂枝、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬の5種類の生薬から成る薬です。体内の「血」の滞りである「瘀血」を、生理の出血によって、体外に排出する作用があります。おもに、下腹部の痛みやひきつり、しこりなどの症状に用いられます。

■加味逍遥散・・・ストレスが由来の婦人科トラブルに
 体のエネルギーである「気」をめぐらせる「逍遥散」に、体にこもった熱を取り除く牡丹皮を山梔子という生薬を加えた漢方薬です。イライラして怒りっぽい、のぼせやすい、といった症状を伴う婦人科のトラブルに向いています。

■十全大補湯・・・「気」や「血」が不足して元気のない人に
 体のエネルギーである「気」と、ホルモンの働きと密接な関係のある「血」を穏やかに補う生薬が、バランスよく組み合わされた漢方薬です。体を温めながら、「気」や「血」を補う作用に優れています。婦人科ばかりでなく、滋養強壮の漢方薬としても有名です。

■温経湯・・・体を温めて「血」をめぐらせる
 ゴシュユ、桂枝など、体を温める生薬が多く入った漢方薬です。「血」を補いながらめぐらせるなど、当帰芍薬散と似た作用をもっていますが、作用がやや強く、温める力が比較的強いのが特徴です。生理不順や生理痛などのトラブルに、幅広く用いられています。

婦人科5大食材

■しそ・・・ストレスや胃腸に作用する
 精神的なストレスによって起こる「気」のめぐりの悪さを改善する作用があるため、気持ちが沈んでいるときや、ストレス過多でイライラしているときにおすすめです。また、胃腸の働きを高め、消化を助ける働きもあり、胃腸症状によく用いられる「香蘇散」などの漢方薬にも含まれています。

■シナモン・・・「血」をめぐらせ体を温める
 スパイスとしてよく知られるシナモンですが、「桂枝茯苓丸」や「温経湯」にも含まれる生薬でもあります。「血」をめぐらせながら体を温める作用があり、特に下半身が冷えるときには有効です。一般的には、のぼせやほてりなどの熱症状にはむきませんが、下半身が冷えて、上半身がほてる「冷えのぼせ」などには、体を冷やす性質を持つ食べ物にプラスするといった使い方もできます。

■なつめ・・・「血」を補い婦人科に重要な食材
 中国のドライフルーツとして知られるなつめ。「血」を補う作用にすぐれていて、婦人科ではとても重要な食べ物であり、薬でもあります。鉄分や繊維も多く、精神安定作用もあるので、月経中や妊娠中、産後、更年期など、あらゆるシーンにお奨めです。ちなみに、大棗(なつめ)、小麦、甘草の3つの生薬からなる「甘麦大棗湯」という薬は、女性のうつや不眠など精神的なトラブルによく使われています。

■くこの実・・・補血、生殖機能を高める
 「血」を補いながら、生殖能力を高める作用があり、婦人科では、なつめといっしょに用いるとより効果が高まります。「明目作用」といって、目によいことでも知られており、「のむ目薬」といわれる「杞菊地黄丸」などの漢方薬にも含まれています。また、美肌作用もあり、加齢による肌の衰えにもよいといわれています。目を酷使する人はもちろんのこと、生殖能力や肌の衰えが気になりはじめる年齢になったら、ぜひ毎日とりたい食べ物のひとつです。

■黒豆・・・ホルモンバランスを整える
 体のエネルギーである「気」と、ホルモンと深い関係のある「血」を補うとともに、生殖能力を高める作用もあります。味も穏やかで食べやすく、胃腸の働きをしっかりさせる作用もあるので、以前より疲れやすくなったと感じている人などは、料理に使ったりお茶としてのむなど、毎日続けてとりたい食材のひとつです。