最近、ちよっとしたことが気にかかって、決断できなかったり、落ち込んだり、気持ちの切り替えができなかったり。気にしても仕方ないと、わかっていても、ささいなことが気になったり、気持ちが沈んでやる気が出なかったり。。少し前は、こんな気分にならなかったのに。トシのせいかしら??。
女性は、生理周期や病気・妊娠・出産などによるホルモンの変化・血液の消耗などで、身体はもちろん、精神的に不安定になることがよくあります。仕事や家庭・人間関係の心配事など外的要因もありますが、必要以上に不安感を感じたり、生理周期で気分が変わるのは、よい「血」の不足など身体の中の原因がおおいに関係しています。
中国漢方では?
血液が不足している人は、「心・しん」にも、血液が不足します。漢方の「心」は、血流(西洋医学の心臓の機能に似ています)や精神・思考活動を司ると考えます。血流に影響すると、動悸・脈の結滞・息切れなどが、思考活動に影響すると、不安感・おちこみ・不眠などがおきやすくなります。思考への影響は、胃腸も弱く、脾(胃腸)の統血作用(血を正常なルートからもれないようにコントロールする)も弱い人に多く、不安感・落ち込み・動悸などのほか、顔色がくすむ・だらだらした不正出血が続くなどの症状もおきやすくなります。「心血虚」といったり、胃腸機能も悪い場合は、「心脾両虚」と呼びます。
中国漢方には、「補血薬」といった質のよい血を増やす薬に「安神薬」といった気持ちを落ち着かせるタイプの薬を併用するなどして治療します。胃腸が特に弱い人は、「健脾薬」も併せて、よい血をつくる機能を助けます。
□くよくよ心配しがち・疲れやすい・肌くすむ・生理早まる・不正出血→帰脾錠
□不安もイライラも強い・不眠・ほてり・ホルモンバランス崩れた→天王補心丹
□貧血・眠れないのが顕著→酸棗仁湯錠
などがよく使われるお薬です。
養生法など
「心血虚」がすすむと、全身症状である貧血症状のほか、鬱病・神経不安症・不眠・もの忘れ・動悸などの病気や症状がおきやすくなります。「血虚」対策と同様に、日頃から良質のたんぱく質を、胃にもたれない程度に、摂ることが大切です。鶏肉・レバー・卵・豆・大豆製品を取り入れたバランスのよい食事は大切です。
ビタミン・ミネラル・葉酸の豊富な色の濃い野菜も多めに。造血作用があるといわれる黒ゴマ・黒大豆・黒砂糖・黒きくらげ・なつめ・龍眼肉・くこの実なども。また、「安神作用」(精神安定作用)のある食品には、なつめ・ユリ根・はすの実・押し麦などがあります。消化吸収の悪い人が多いので、胃腸に負担のかかる油っぽいもの・甘いもの・過剰な水分などは控えめに。
寝不足・夜更かしなどはつらい人が多いと思います。「血」を消耗する、夜更かし・目の酷使には、要注意!「心血虚」と同様、心の不足状態に「心陰虚」というタイプがあり、心血虚と似た症状もありますが、陰の過剰な熱を冷まという作用が弱いため、あせる感じや、のぼせたりほてる感じ、寝汗など、いやな熱感を伴うという特徴があります。
全身の陰液(体内で役にたつ水分)も不足してますから、肌の乾燥や、粘膜の乾燥、口の乾燥などもおきてきます。女性ホルモン(エストロゲンは陰と関係が深いと考えます)の減少してくるいわゆる更年期以降、起こりやすい現象です。「心陰虚」は、「心血虚」より少し厄介ですが、潤いや血を補給してあげれば、数多いように見える不快な症状も、ずっと軽くすることができます。