理想的な基礎体温とは

 女性の生理は個人差はあるものの、28日前後の周期を繰り返しています。周期は、排卵を境に、前半の低温期(卵胞期)と後半の高温期(黄体期)に分けられます。

理想的な基礎体温 周期の後半に分泌される黄体ホルモンは、子宮内膜を柔らかく保つと同時に全身の代謝を活発にし基礎体温を上昇させる働きがあるため、後半は体温が上がります。したがって、基礎体温は、低温期と高温期の差が0.3-0.5℃ある『二相性』が正常です。また、低温期から高温期へは、3日以内にスムーズに上がり、高温期は12日以上あるのが理想です。

 不妊や婦人科の疾患で悩んでいらっしゃる方は、当然基礎体温も理想通りとはいきませんが、漢方薬を服用する際にも、基礎体温表はお薬の種類や飲み方を決定する大切な参考資料になります。たとえば、低温期が長く排卵までに時間がかかる、高温期が低いなどの場合は、卵胞を育て子宮内膜を厚くするための材料となる質の良い血液が不足している『血虚』や、卵胞ホルモンや黄体ホルモンの分泌・機能が充分ではない『腎虚』の場合が多くみられます。

 体温がギザギザと波打っているのは、ストレスが過剰で自律神経が乱れがち、場合によってはプロラクチン値も高い『肝鬱』と考えます。生理時や低温期でも体温が高めなのは、ストレスや食生活の影響などで過剰な『熱』がこもっていたり、血行不良で子宮内の不要物がきれいに排泄されない『瘀血』の場合に多くみられます。

 中国漢方では、基礎体温や問診などで体調や生理の様子をきき、服用する薬や、生活スタイルの中で留意する点などを見直します。よりオーダーメイドの治療を目指しますから、体調はもちろん、基礎体温にも、2-3か月で、何らかのよい変化があらわれてくるのが特徴です。