気・血・水・の概念は中医学のもっとも基本となる考え方で、からだを構成する重要な物質と捉えています。大雑把に言えば、「気」は元気、やる気という言葉があるように生命エネルギーの源であり、「血」は血液、「水」は津液と呼ばれ体液や潤いなどを指します。これらが、不足したり、過剰だったり、ある場所に滞ったりすると体調を崩したり、病気につながってしまいます。 まずは、自覚症状からあなたの気・血・水のバランスチェックをしてみましょう。
1.「気」の不足している状態
気には、血や水をスムーズに動かす力や体温調節、外邪から身を守る防衛機能等の働きがありますが、その気が体内で充分に作られていないと、やる気がでない、元気がないなどの症状の他、胃腸や免疫力も弱くなり、体は冷えやすく、風邪や花粉症・アレルギーにもなりやすくなります。五臓の中の「脾(胃腸)」が弱っているとその症状が多く診られ「肺」とも関係しています。
改善方法は、気を補ったり、脾の働きを良くすることに重点をおきます。
代表的な漢方薬に、補中益気湯、星火健脾散、衛益顆粒などがあります。
□おすすめ食材
鶏肉、うなぎ、えび、山芋、豆類、きのこ、栗、りんごなど、温かく消化のよい食事
□ひかえる食材
冷たいもの、脂っぽいもの、生もの、辛いもの、消化の悪いものや食べ過ぎ
2.「気」の滞っている状態
気には各臓腑機能の働きを促進するなど電気のように目に見えない役目や働きがあります。この気が、何かしらの原因で全身をスムーズに巡らず停滞している状態では、自律神経や生理周期に影響がでたり、体のあちこちが張ったような感じになります。ガスがたまるのもそのせいです。五臓では、気を全身に巡らせたり、精神を安定させる働きのある「肝」と関係しています。
改善方法は、理気薬と言われる気の流れを良くする漢方薬を中心に用います。
代表的な漢方薬に、星火逍遥丸、加味逍遥散、開気丸などがあります。
□おすすめ食材
香りのよいミント・みつば・セロリなど、みかんなどの柑橘系、レバー、くこの実など
□ひかえる食材
味の濃いものや辛いもの、こってりしたもの、刺激の強いものなど
3.「血」の不足している状態
血には、全身に栄養を運んだり各器官を潤すなどの働きがあり、その血が不足がちになると婦人科機能にも影響を及ぼします。肌・髪・爪・目が乾燥しやすくなり、卵巣・ホルモンの機能やストレスに対する力が弱くなるのもそれと関係しています。五臓では、血の貯蔵や補給の役目を持つ「肝」と関係しています。
改善方法は、「補血」と言って血を補う働きのある漢方薬を中心に用います。
代表的な漢方薬に、婦宝当帰膠、四物湯、参茸補血丸などがあります。
□おすすめ食材
レバー、鶏肉、黒米、黒豆、プルーン、人参、なつめ、牡蠣など赤や黒の食品
□ひかえる食材
冷たいもの、脂っぽいもの、甘いもの、辛いもの、生ものなど
4.「血」の滞っている状態
全身に栄養を届ける血の流れが悪い状態が続くと、痛みや冷えを感じたり、皮膚が黒っぽくなります。しみなどの色素沈着や肩こり、糖尿病、脳卒中、心臓病など循環器の病気を引き起こしやすくなります。五臓では、血の流れを促進する「心」と関係しています。
改善方法は、「活血」と言って血の流れを良くする漢方薬を中心に用います。
代表的な漢方薬に、冠元顆粒、血府逐瘀丸、爽月宝、水快宝などがあります。
□おすすめ食材
香り野菜のねぎ、玉ねぎ、にら、らっきょうなど、青魚、黒きくらげ、サフランなど
□ひかえる食材
脂っぽいもの、脂身の多い肉類、バター、辛いもの、味の濃いもの、洋菓子類
5.「水分」の不足している状態
体を潤したり冷やしたりする水分が不足すると、体内に熱がこもり、顔や手足の熱感・渇き・乾燥を感じやすくなります。夕方から夜間、湿度の低い乾燥している時期などに悪化します。五臓では、水液の調節を行う「肺」や「腎」が関係しています。
改善方法は、「補陰」と言って陰液を補う漢方薬を中心に用います。
代表的な漢方薬に麦味参顆粒、六味丸、杞菊地黄丸、八仙丸などがあります。
□おすすめ食材
鶏肉、あわび、はまぐりなどの貝類、豆乳、ゆり根、白きくらげ、なし、メロンなど
□ひかえる食材
辛いもの、刺激の強いものや香りの強いもの、味のこいもの
6.「水分」が過剰な状態
体内に、排泄されない余分な水分が溜まっている状態が続くと、鼻水・痰・おりもの・吹き出物としてでたり、湿度の高いときは、だるさ・むくみ・重だるい痛みなどの症状が現われます。五臓では、飲食物の運化(消化吸収)作用のある「脾」と関係しています。
改善方法は、「化湿」と言って、湿を取り除いたりする漢方薬を中心に用います。
代表的な漢方薬に、星火温胆湯があります。
□おすすめ食材
はと麦、緑豆、海藻、大根・ごぼうなどの根菜、冬瓜・メロン・すいか・きゅうりなどの瓜類
□ひかえる食材
冷たいもの・炭酸飲料などの水分、脂っぽいもの、味の濃いもの
チェックを終えたあなた…
自分の気・血・水と五臓のどこが弱っているかわかりましたか?これらは、年齢や環境などで、簡単に弱ったりバランスを崩しやすいのです。まだ病気ではないけれど・・中医学では病気になる前段階の状態を未病と呼んでいます。日頃から体調をよく観察して、気・血・水と五臓のバランスを整えてみませんか?
もっと詳しくチェックしたい方は…こちらから、ご相談メールで。